【プロが完全解説】サンルームの総費用、40万円~200万円の価格差はどこから来るのか?

「お庭にもう一つ、素敵な空間が欲しいな」

そう思ってサンルームのことを調べてみると、40万円くらいで設置できる手頃なものもあれば、200万円をゆうに超える立派なものまで、本当に様々ですよね。

「一体この値段の違いは何なんだろう?」

「高い買い物だから絶対に失敗したくないけど、何を基準に選んだらいいのか、正直よくわからない…」

安いものを選んで「夏は暑すぎるし、冬は寒くてほとんど使えなかった…」なんて後悔は絶対にしたくない。かといって、一番高いものが自分の家族の暮らしに本当に必要なのかどうかも、確信が持てない。

そんなふうに、たくさんの情報の中で、どう判断すればいいのか分からず、少し疲れを感じてはいませんか?

そのお気持ち、この道20年の私には痛いほどよくわかります。毎日たくさんのお客様から、同じようなご相談をいただきますから。でも、大丈夫ですよ。その心の中のモヤモヤの正体は、実はとてもシンプルです。それは、サンルームと呼ばれる商品たちの「種類」と、それぞれが持つ「本来の目的」の違いが、まだ整理できていないだけなのです。

この記事を読み終える頃には、きっとその霧が晴れて、あなたのご家族にとって本当に価値のある選択肢が、はっきりと見えてくるはずです。

ここで少し、自己紹介をさせてください。

はじめまして、エクステリア専門工事会社「コウケンNET」の代表をしております、池本と申します。私はこの業界で約20年間、本当に多くのお客様のお庭づくりをお手伝いしてきました。

私が仕事をする上で、たった一つ、一番大切にしていることがあります。それは、「商品を売ること」ではありません。私の本当の仕事は、お客様がこの先10年、20年と続いていく暮らしの中で、「ああ、この空間があって本当に良かったな」と心から感じていただける、そんな未来と「長期的な安心感」をお届けすることです。

ですから、この記事では、商品の良いことばかりを並べて「こちらがおすすめです」と誘導するようなことは一切いたしません。それぞれの商品のメリットはもちろん、お客様の暮らし方や設置場所によってはデメリットになりうること、そして後悔しないために注意すべき点まで、すべて正直にお話しするつもりです。

なぜなら、それがお客様にとって、後悔しない選択への一番の近道だと、私は20年の経験から確信しているからです。

目次

サンルームの総費用を決める「目的」という名の分かれ道

それでは本題に入りましょう。サンルームの価格が40万円から200万円以上と大きく開く理由。それは、あなたがその空間に「何を求めるか」という、根本的な目的の違いにあります。

すべてはここから。あなたの目的は「暮らしの利便性」か「暮らしの豊かさ」か

サンルームと一括りにされがちな商品群は、実は大きく2つのカテゴリーに分けることができます。

一つは、洗濯物を干したり、自転車や趣味の道具を置いたりといった、「暮らしの利便性」を高めるための空間。これを「テラス囲い」と呼びます。雨や花粉、鳥のフンなどを気にせず洗濯物が干せる、あるいは大切なものを雨風から守る。日々のちょっとした手間やストレスを解決してくれる、非常に実用的な存在です。

もう一つは、リビングの延長としてくつろいだり、趣味の読書やヨガを楽しんだり、ペットや子供たちの遊び場にしたりと、「暮らしの豊かさ」を深めるための空間。これが「ガーデンルーム」です。お庭の景色を眺めながら過ごす時間を楽しむ、いわば「第二のリビング」のような存在で、日々の生活に彩りや安らぎを与えてくれます。

まず、あなたご自身に問いかけてみてほしいのです。あなたがサンルームのある暮らしに求めるものは、この二つのうち、どちらの側面に近いでしょうか?この問いの答えこそが、あなたに最適な商品、そして納得のいく費用を知るための、最も重要な第一歩になります。

「テラス囲い」の代表格、LIXIL サニージュとは?(価格帯:約40万円~100万円)

「暮らしの利便性」を追求した商品の代表格が、LIXILの「サニージュ」というテラス囲いです。

サニージュの最大の価値は、その実用性とコストパフォーマンスの高さにあります。「天気を気にせず洗濯物を干したい」という、多くの方が抱える悩みを解決するための機能が詰まっています。

価格について具体的にお話しすると、最もコンパクトなサイズである間口1.0間(約1.8m)×出幅3尺(約0.9m)の場合、工事費や消費税込みで約43万円から設置が可能です。

ただし、ここで専門家として正直なアドバイスをさせてください。この最小サイズは、実際に「洗濯物を干す」という目的で使おうとすると、ご家族の人数によっては少し手狭に感じることが少なくありません。「せっかく付けたのに、思ったより干せなくて不便…」となっては本末転倒です。

そのため、私が多くのお客様にご提案し、実際に「これにして良かった」と満足の声をいただくことが多いのは、もう少しゆとりのある「間口1.5間(約2.7m)×出幅4尺(約1.2m)」のサイズです。この場合、総費用は約55万円からが目安となります。このくらいの広さがあれば、日々の洗濯物干しが本当に楽になり、ストレスが大きく軽減されるはずです。

もちろん、サニージュでもサイズを大きくすれば価格は上がっていきます。例えば、間口2.0間(約3.6m)×出幅9尺(約2.7m)という最大級のサイズになると、総費用は約100万円に達することもあります。このように、「テラス囲い」というカテゴリーの中でも、選ぶサイズによって価格は大きく変動するのです。

「ガーデンルーム」の世界へようこそ(価格帯:約100万円~200万円超)

一方で、「暮らしの豊かさ」を求めるあなたのための選択肢が「ガーデンルーム」です。これは単なる囲いではなく、住まいの延長として設計された、より上質でデザイン性の高い空間です。

LIXILの製品で言えば、比較的手に取りやすい「ガーデンルームGF」、デザイン性に優れた「ココマ」、そして究極の開放感を持つ「ジーマ」といったラインナップがあります。

価格帯は、ここから一気にステージが上がります。最もリーズナブルなガーデンルームGFでも、先ほどご紹介したサニージュと同じようなサイズ(間口1.5間×出幅4尺)で約105万円からとなります。つまり、ここには約100万円という一つの大きな壁が存在するのです。

この価格差の理由は、単に素材が高級だからというだけではありません。テラス囲いのサニージュが約55万円、ガーデンルームGFが約105万円。この50万円の差が、実は「利便性の世界」と「豊かさの世界」を隔てる、非常に大きな橋渡しとなっているのです。その鍵を握るのが、「折れ戸」という開口部の存在です。テラス囲いにはないこの仕様こそが、ガーデンルームを「第二のリビング」たらしめる、決定的な違いを生み出しています。

項目テラス囲い (例: サニージュ)ガーデンルーム (例: ガーデンルームGF, ココマ, ジーマ)
主な目的暮らしの利便性向上暮らしの豊かさの創造
具体的な用途洗濯物干し、物置、自転車置き場第二のリビング、趣味の空間、カフェスペース、子供・ペットの遊び場
空間の性格実用的な作業スペース庭と一体になるくつろぎの空間
価格帯の目安約40万円 ~ 100万円約100万円 ~ 200万円超
キーワード便利、実用的、コストパフォーマンス快適、おしゃれ、開放感、ライフスタイル

サンルームの総費用を積み上げる「価格の内訳」と後悔しないための知識

あなたが「利便性」と「豊かさ」のどちらを重視するかが明確になったら、次は価格を具体的に構成していく要素を見ていきましょう。ここで正しい知識を持つことが、将来の「こんなはずじゃなかった」という後悔を防ぐための、何よりのワクチンになります。

価格を左右する最大の要素:「サイズ」と「開口部の種類」

サンルームの総費用を決定づける二大要素は、言うまでもなく「サイズ」と「開口部(窓や扉)」の種類です。

サイズについては、間口(横幅)や出幅(奥行き)が大きくなればなるほど、使用する部材が増えるため価格は上がります。これは直感的にもご理解いただけるかと思います。例えば、同じガーデンルームGFでも、間口2.0間×出幅9尺の大きなサイズになると、総費用は約190万円にまで上がります。

そして、もう一つの重要な要素が「開口部」です。特に、先ほど少し触れた「折れ戸」の存在は、テラス囲いとガーデンルームを分ける決定的な違いであり、価格にも大きく影響します。

折れ戸は、単なる出入り口ではありません。これは「壁が、まるでそこになかったかのように消える」魔法のような装置だと、私は考えています。サニージュのような引き違い窓では、開けても窓の半分はガラスが残ります。しかし、折れ戸はすべてのパネルを畳んで片側に寄せることができるため、庭との間に遮るものが何もなくなり、圧倒的な開放感を生み出すのです。これがあるからこそ、ガーデンルームは「もう一つのリビング」として、庭と一体になった暮らしを実現できるのです。

暮らしの質を上げる「オプション」という名の投資

基本の本体価格に加えて、暮らしの快適さを大きく左右するのが各種オプションです。これを単なる「追加費用」と考えるか、「未来の快適さへの投資」と考えるかで、10年後の満足度は大きく変わってきます。

特に重要なのが「夏の暑さ対策」です。サンルームで最も多い後悔の声が、「夏、暑すぎて使えない」というもの。これを防ぐためには、いくつかの重要な投資があります。

一つは「屋根材」の選択です。一般的なポリカーボネート材に比べ、日差しの熱を大幅にカットしてくれる「熱線吸収タイプ」や「熱線遮断タイプ」の屋根材を選ぶこと。これは必須の投資と言っても過言ではありません。初期費用は数万円上がりますが、真夏の室温上昇を抑え、空間の快適性を格段に高めてくれます。

もう一つは「日除け」です。サンルームの内側に取り付ける「内部日除け」や、外側に取り付ける「スタイルシェード」があります。私の経験上、日差しは室内に入る前にカットする方が効果が高いため、設置が可能であれば外付けのスタイルシェードが特におすすめです。

その他にも、虫の侵入を防ぎながら換気ができる「網戸」は、開閉できるユニットがある場合もはやオプションではなく必需品です。また、外からの視線を遮りプライバシーを守るための「カーテンレール」も、設置場所によっては欠かせない投資となるでしょう。

こうしたオプションを省いて初期費用を安く見せることもできますが、私はそれを良しとしません。お客様が後で「やっぱり付けておけば良かった」と後悔される姿を見たくないからです。長期的な視点で、本当に必要な機能をご提案するのが販売店の責任だと考えています。

デザイン性が価格に与える影響:ココマとジーマの世界

ガーデンルームのカテゴリーの中でも、さらに価格が上がる上位モデルには、相応の理由があります。それは、機能性を超えた「デザイン性」と「空間コンセプト」の違いです。

例えば、「ココマ」というガーデンルームには、「腰壁タイプ」という特徴的なデザインがあります。これは、足元を壁で囲うことで、より「部屋」らしい落ち着きとプライベート感を演出するものです。

全面ガラス張りの開放感とはまた違う、カフェのテラス席のような、こもり感のある特別な空間を作り出します。こうしたデザイン性の高さと、それを実現するための部材や施工の手間が価格に反映され、例えば間口2.0間×出幅10尺の腰壁タイプでは、総費用が200万円を超えることもあります。

そして、ガーデンルームの最高峰に位置するのが「ジーマ」です。

ジーマの最大の特徴は、三方の壁をすべて折りたたんで収納できる「フルオープン」機能にあります。これによって、屋根と柱だけが残る、まるで壁のない東屋のような、究極の開放空間が生まれるのです。ココマが「庭と心地よく繋がる空間」だとしたら、ジーマは「庭との境界線を消し去る空間」と言えるでしょう。この唯一無二の体験価値を実現するための複雑な機構が、その価格に込められています。

見落としがちな「工事の前提条件」

最後に、これまでお話ししてきた価格は、すべて一般的な住宅の壁や窓に、標準的な工事で設置した場合を前提としている点に触れておかなければなりません。

実際には、お客様のお住まいの外壁の状態、掃き出し窓の高さ、地面の状況などによって、追加の部材や基礎工事が必要になる場合があります。例えば、コンクリートを打って土間仕様にする場合は、その分の費用が別途かかります。

もちろん、こうした点は事前の現地調査で細かく確認し、なぜその費用が必要なのかを一つひとつ丁寧にご説明しますので、どうぞご安心ください。お客様が知らないうちに費用が膨らむようなことは一切ありません。実際に、栃木県足利市のA様からも「見積りから工事終了まで丁寧に対応していただきました。仕上がりも良く、満足しています と言っていただけたことが、私たちの何よりの誇りです。

まとめ

ここまで長い時間、お付き合いいただき、本当にありがとうございます。

サンルームの総費用、40万円から200万円という大きな価格差の核心が、少しでもお分かりいただけたでしょうか。

つまり、その差は単なる「商品の松竹梅」といったランクの違いではありません。その差は、あなたがその新しい空間で「何をしたいか」という、暮らしの目的の違い、そのものなのです。

ですから、あなたが選ぶべきは「一番安いもの」でも「一番高いもの」でもありません。あなたの、そしてご家族の暮らしを、これから先何年にもわたって一番豊かにしてくれる、「一番あなたに合ったもの」です。

天気を気にせず洗濯物を干せるようになって、生まれた時間を家族との語らいに使いたいですか?

それとも、庭の緑をすぐそばに感じながらコーヒーを飲む、新しいお気に入りの場所を作りたいですか?

実際に、埼玉県日高市のK様からは「梅雨入り前に作って頂き、雨を気にする事なく洗濯物を干せるようになりました」という、まさに「利便性」がもたらした喜びの声をいただいています。

その答えを、もしよろしければ、ぜひ私たちと一緒に見つけさせてください。

私たちは、ただ商品を設置するだけの工事業者ではありません。あなたの理想の暮らし、新しい空間で叶えたい夢をじっくりとお聴きし、20年の経験を持つ専門家として最適なプランをご提案します。そして、工事が終わった後も、その空間を末永く、快適にお使いいただけるよう、ずっとあなたのそばで見守り続けます。それが、私たちの考える「本当のお付き合い」です。

まずは「ちょっと話を聞いてみたい」くらいの、本当に気軽なお気持ちでご連絡ください。しつこい営業や、契約を急がせるようなことは一切しないことを、この私、池本が固くお約束します。

あなたの10年後、20年後の「ああ、本当に良かった」という笑顔のために。誠心誠意、お手伝いさせていただきます。

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    この記事を書いた人

    リクシルのエクステリア商品の専門家。
    約20年、外構エクステリア業界に携わっています。
    日本全国のお客様と60,000件以上関わらせてもらいました。
    使い勝手が良く、コストを下げる提案が得意です。

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