テラスの雨よけは家の保証に注意!プロが教える選び方

「テラスに雨よけが欲しいな」

そう思って、情報をお探しでしょうか。

急な雨で、干していた洗濯物がびしょ濡れになるのはもう嫌だ。夏の強い日差しを避けて、子どもやペットが快適に過ごせる場所を作ってあげたい。そんな想いから、テラス屋根の設置を考え始められたのかもしれません。

でも、調べていくうちに、たくさんの情報や様々な商品が出てきて、一体何を信じたらいいのか分からなくなっていませんか?

「テラス屋根を付けたら、部屋が暗くなってしまうんじゃないだろうか…?」

「台風で壊れたりしないかな?強度ってどうやって見ればいいんだろう?」

「そもそも、うちの壁に取り付けられるのかな?」

「安い買い物じゃない。変な業者に頼んで、後悔するのだけは絶対に避けたい…」

次から次へと湧いてくる疑問や不安。そのように悩んでしまうのは、あなたがご家族との暮らしを、そして大切なお住まいを、真剣に考えている何よりの証拠です。

そのお気持ち、この道一筋で約20年、たくさんのお客様と向き合ってきた私には、痛いほどよく分かります。

はじめまして。エクステリア専門工事会社「コウケンNET」の池本と申します。

まず、一番最初にお伝えしたいことがあります。私の仕事は、テラス屋根という「モノ」を売ることではありません。私の使命は、工事が終わった後、お客様が10年、20年と「ああ、付けて本当に良かった」と心から思いながら、安全で快適に暮らし続ける、その「未来」をお届けすることです。

「売りっぱなしにしない」。これは、私が事業を立ち上げた時からの、決して揺らぐことのない信条です。エクステリア工事は、完了してからがお客様との本当のお付き合いの始まりだと、私は本気で考えています。

なぜ、こんなことを申し上げるのか。それは、この業界では、目先の価格の安さだけで選んでしまった結果、数年後に「やっぱり、あっちにしておけば良かった」「こんなはずじゃなかった」という後悔につながるケースが、残念ながら少なくないからです。

だからこそ、私はこの記事で、あなたにとって耳の痛い話もするかもしれません。商品のメリットだけでなく、デメリットや注意点も、すべて正直にお話しすることをお約束します。

私の20年の知識と経験が、あなたの「後悔しない選択」のために、少しでもお役に立てれば、これほど嬉しいことはありません。

目次

まず知るべき大原則:テラスの雨よけは「壁付け」と「独立」どちらを選ぶべきか?

テラス屋根を選ぶ上で、デザインや価格の前に、まず決めなければならない最も重要な分かれ道があります。それが、「壁付けタイプ」と「独立タイプ」のどちらを選ぶか、という問題です。

この選択を間違えると、後々大きな後悔につながる可能性があるため、じっくりとご説明させてください。

なぜ今、「独立タイプ」が注目されるのか?大切な家の「保証」の話

なぜ今、「独立タイプ」が注目されるのか?大切な家の「保証」の話

従来、テラス屋根といえば、建物の外壁に直接ネジで固定する「壁付けタイプ」が主流でした。今でも多くの現場で採用されている、ごく一般的な工法です。

しかし、この「壁に穴を開ける」という行為が、特に最近の住宅、とりわけ大手ハウスメーカーで建てられたお住まいにおいて、深刻な問題を引き起こす可能性があるのです。

それが、ハウスメーカーが定めている「外壁の防水保証」が失効してしまうリスクです。

大切なお住まいは、雨漏りなどから建物を守るために、壁に防水処理が施され、多くの場合10年以上の長期保証が付いています。ところが、後からテラス屋根を取り付けるために壁にいくつも穴を開けてしまうと、ハウスメーカー側は「保証の対象外の工事が行われた」と判断し、万が一その壁面から雨漏りが発生しても、保証をしてくれなくなってしまうのです。

この問題は、お客様にとって非常に大きなリスクです。そこで、この問題を解決するために開発され、近年急速に需要が高まっているのが「独立タイプ」のテラス屋根です。

独立タイプは、その名の通り、建物の壁には一切固定せず、地面に立てた柱だけで屋根を支える構造になっています。カーポートをイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。壁に穴を開ける必要がまったくないため、お住まいの保証を維持したまま、安心して雨よけスペースを増設することができるのです。

特に、ご自宅が新築や築浅の場合、あるいは長期優良住宅の認定を受けている場合は、この「独立タイプ」を第一候補として考えるべきだと考えます。

コストパフォーマンスで選ぶなら「壁付けタイプ」の魅力と注意点

コストパフォーマンスで選ぶなら「壁付けタイプ」の魅力と注意点

では、「壁付けタイプ」はもう選ぶべきではないのでしょうか?いえ、決してそんなことはありません。

壁付けタイプの最大の魅力は、やはりコストパフォーマンスの高さです。構造が比較的シンプルで、使用する部材も独立タイプより少ないため、工事費を含めた総額を抑えることができます。LIXILの「スピーネ」などがその代表例で、多くのお客様に選ばれ続けているスタンダードな商品です。

ただし、選ぶ際には注意が必要です。先ほどお話しした「住宅保証」の問題をクリアできるかどうかが大前提となります。

例えば、すでにお住まいの保証期間が終了している場合や、ハウスメーカーに確認して「テラス屋根の設置には影響しない」という言質が取れている場合、あるいは壁の構造上、問題なく設置できると専門家が判断した場合には、壁付けタイプはコストを抑えられる非常に優れた選択肢となります。

私たちが工事にお伺いする際も、お客様のご自宅の状況とご意向をしっかり確認し、壁付けタイプが最適だと判断すれば、自信を持ってそちらをおすすめしています。

特徴壁付けタイプ独立タイプ
初期費用比較的安価比較的高価
住宅保証への影響保証が外れる可能性が高い影響なし
設置の自由度壁の材質・構造に依存する高い(地面に柱を建てられれば設置可能)
壁との密着性完全に密着し、雨の侵入がない構造上、壁との間に隙間ができる 2
こんな方におすすめ費用を最優先したい方、住宅保証が問題にならない方新築・築浅の方、住宅保証を絶対に維持したい方

意外と知らない「すき間」問題と、その賢い解決策

独立タイプが住宅保証の観点から非常に優れていることは、ご理解いただけたかと思います。しかし、誠実な専門家として、そのデメリットも正直にお伝えしなければなりません。

それは、構造上、どうしても建物の壁と屋根の間に10cmほどの「すき間」ができてしまうことです。せっかく雨よけのために設置するのに、「そのすき間から雨が入ってくるのでは?」と心配になりますよね。ごもっともな疑問です。

もちろん、メーカーもその点は対策を考えています。オプションとして「躯体すき間ふさぎ材」という部材が用意されています。これはゴム製の部材で、屋根側に取り付けて壁にもたれかけさせることで、すき間からの雨の吹き込みを「緩和」するものです。

ここで正直にお伝えしたいのは、この部材は雨の吹き込みを「完全に防ぐ」ものではない、という点です。通常の雨であればほとんど問題ありませんが、台風のような横殴りの激しい雨や、壁を伝ってくる雨水が多少侵入する可能性はゼロではありません。

ただし、私の20年の経験から言うと、ご自宅の軒(のき)が深く出ている場合や、窓の上のシャッターボックスの下に屋根を潜り込ませるように設置できる場合は、このすき間からの雨の吹き込みはほとんど気にならないケースが非常に多いです。

このあたりは、カタログだけでは判断が難しい部分です。やはり、プロが一度現場を拝見し、「お客様のご自宅の場合は、ふさぎ材があった方が良いですね」「この条件なら、なくても大丈夫ですよ」と的確にアドバイスするのが一番確実です。

あなたの暮らしに寄り添う、LIXIL製テラス雨よけの選び方

さて、ご自宅に合うのが「壁付け」か「独立」か、大まかな方向性が見えてきたでしょうか。ここからは、国内トップメーカーであるLIXILの商品を例に、あなたのライフスタイルや価値観に合った具体的なモデルの選び方をご案内します。

まずは、全体像を掴んでいただくために、代表的なモデルを比較した表をご覧ください。

モデル名主なタイプコンセプト価格帯こんな方におすすめ
スピーネ壁付け高コストパフォーマンス¥とにかく価格を抑えたい、基本性能で十分な方
テラスVS壁付け風や雪に強い高強度¥¥台風が多い地域にお住まいの方、安心感を最優先したい方
シュエット壁付けおしゃれな木目調デザイン¥¥¥デザイン性を重視し、家の外観と調和させたい方
フーゴFテラス独立サイズ豊富な独立型の基本モデル¥¥¥独立タイプの中で、コストを抑えたい方
テラスVB独立柱位置が自由な中柱構造¥¥¥¥障害物がある場所や、テラスからの視界を広く保ちたい方
テラスSC壁付け/独立アルミ屋根の高級感と高い遮熱性¥¥¥¥¥デザインと機能性を最高レベルで両立させたい方

「価格」と「基本性能」のベストバランス:スピーネという堅実な選択

「特にデザインに強いこだわりはないけれど、しっかりとした雨よけが欲しい」

「できるだけコストを抑えて、洗濯物を干すスペースを確保したい」

このようにお考えの方に、まず検討をおすすめするのが、壁付けタイプの「スピーネ」です。スピーネは、LIXILのテラス屋根の中で最もスタンダードで、コストパフォーマンスに優れたモデルです。

価格を抑えているからといって、性能が低いわけではありません。耐積雪20cm、耐風圧強度も標準的なレベルをクリアしており、日常的な使用において十分な強度を備えています。まさに「迷ったらコレ」と言える、長年多くの方に選ばれ続けている、信頼と実績のあるテラス屋根です。

ただし、前述の通り「壁付けタイプ」ですので、住宅保証との兼ね合いは慎重に検討する必要があります。保証の問題がないお住まいであれば、これ以上ないほど堅実で満足度の高い選択となるでしょう。

「台風への備え」と「美しさ」を両立する:テラスVSという安心感

近年、毎年のように大型の台風が日本列島を襲い、各地で大きな被害をもたらしています。「うちのテラス屋根は大丈夫だろうか…」と、不安に感じる方も少なくないでしょう。

そんな「万が一への備え」を最優先に考える方に、私が自信を持っておすすめするのが、同じく壁付けタイプの「テラスVS」です。

このモデルの最大の特徴は、その圧倒的な「強度」にあります。一般的なテラス屋根が耐えられる風速の基準(基準風速Vo)が34m/s程度なのに対し、テラスVSは標準で46m/sに対応しています。これは、業界トップクラスの強度です。

スピーネに比べると価格は1.3倍から1.4倍ほどになりますが、その価格差は「安心」への投資だと私は考えています。万が一の災害時に、屋根が飛散してお住まいやご近所に被害を与えてしまうリスクを、大きく減らすことができるのです。

さらに、テラスVSはただ頑丈なだけではありません。強度を高めながらも、フレームをスリムにすることで、すっきりとした美しい見た目を実現し、2021年度のグッドデザイン賞も受賞しています。強度とデザイン性、その両方を高いレベルで求める方に、まさに最適なモデルと言えます。

「おしゃれな木目調」で温もりをプラス:シュエットという選択肢

「テラス屋根は欲しいけど、いかにもアルミという感じの無機質な見た目はちょっと…」

「せっかくなら、家の外観に合うおしゃれなものを選びたい」

そんな、デザイン性を重視する方に大変人気なのが、木目調のラミネートを施した壁付けタイプの「シュエット」です。

アルミの骨組みに、温かみのある木目調のシートをラッピングすることで、ナチュラルで優しい雰囲気を演出します。ウッドデッキとの相性も抜群で、お庭全体に統一感が生まれ、まるでカフェテラスのようなおしゃれな空間を作り出すことができます。

もちろん、デザインだけでなく、基本性能もしっかりと確保されています。外壁やサッシの色、お庭の植栽とのコーディネートを楽しみながら、機能的な雨よけスペースを手に入れたい。そんな方にぴったりの選択肢です。

「究極の高級感」と「夏の涼しさ」を求めるなら:テラスSCという未来

もし、あなたがご予算に余裕があり、「デザイン」と「機能性」のどちらも一切妥協したくないとお考えなら、「テラスSC」以上の選択肢はないでしょう。

テラスSCは、これまでのテラス屋根の常識を覆す、まさに「屋根の革命」とも言える商品です。最大の特徴は、屋根材に一般的なポリカーボネートではなく、「アルミ」を採用している点です。

このアルミ屋根がもたらすメリットは、主に二つあります。

一つ目は、圧倒的なデザイン性です。屋根そのものが構造体となっているため、余計なフレームや補強材が一切ありません。雨樋(あまどい)も柱と一体化され、ネジやボルト類も外から見えないように設計されており、どこから見ても美しい「ノイズレスデザイン」を実現しています。その佇まいは、もはや「雨よけ」というより、住宅と一体化した「軒(のき)」のようです。

二つ目は、極めて高い「遮熱性」です。アルミ屋根は太陽光を完全にシャットアウトするため、屋根下の温度上昇を劇的に抑えることができます。LIXILの実験では、真夏の炎天下で、屋根がない場合に比べてデッキ表面の温度が最大で約28℃も低くなったというデータもあります。これは、夏の厳しい日差しの中でもテラスが快適な憩いの空間になることを意味し、さらには室内への熱の侵入も防ぐため、エアコンの効率アップにも繋がります。

テラスSCには壁付けタイプと独立タイプの両方があり、住宅保証の問題もクリアできます。価格は他のモデルに比べて高価になりますが、それに見合うだけの、あるいはそれ以上の価値と満足感、そして「夏の涼しさ」という快適な未来を、あなたにもたらしてくれるはずです。

暮らしの質を決める「屋根材」の重要性:光と熱のコントロール術

ここまで、テラス屋根のフレーム(本体)についてお話ししてきましたが、実はもう一つ、暮らしの快適さを大きく左右する重要な要素があります。それは、屋根のパネル部分、「屋根材」です。

テラスSC以外のモデルでは、主に「ポリカーボネート」という素材の屋根材が使われますが、これにはいくつかの種類があり、それぞれ光の通し方や熱のカット率が異なります。

  • 一般ポリカ(クリアマットなど): 最も光を多く通すタイプです。屋根下や室内を明るく保ちたい場合におすすめです。洗濯物も乾きやすいですが、夏場は熱を感じやすい側面もあります。
  • 熱線吸収ポリカ(クリアマットSなど): 光を通しつつ、暑さの原因となる熱線(赤外線)を効果的にカットします。明るさと涼しさのバランスが取れた、最も人気の高いタイプです。

「洗濯物を乾かす」という実用性を優先するのか、それとも「夏場にテラスで涼しく過ごす」という快適性を優先するのか。ご自身のライフスタイルやテラスの使い方を想像しながら、最適な屋根材を選ぶことが、後悔しないための最後の重要な鍵となります。

まとめ:あなたのテラスが、家族の笑顔が集まる場所になるために

ここまで、後悔しないためのテラスの雨よけ選びについて、私の知る限りのことをお話しさせていただきました。

長い文章になってしまいましたが、要点をまとめると、最も重要なのは次の二つのステップです。

まず、ご自宅の保証状況や壁の状態を正しく把握し、「壁付け」か「独立」か、お住まいに合った基本タイプを間違えずに選ぶこと。

その上で、洗濯物干し、憩いの場、趣味のスペースといった、ご自身のライフスタイルに合ったモデルと屋根材を見つけること。

この二つをしっかりと押さえることができれば、あなたのテラス屋根選びは、きっと成功します。

雨の日でも気兼ねなく洗濯物が干せる、あの安心感。

夏の強い日差しを涼やかな木陰に変え、お子様やペットが気持ちよさそうに過ごしている光景。

休日の午後、テラスでお茶を飲みながら、ゆったりと流れる時間を楽しむひととき。

あなたのテラスが、そんな家族の笑顔が集まる特別な場所になる。そのお手伝いができれば、専門家として、これほど嬉しいことはありません。

もし、この記事を読んでもまだ少しでも不安なこと、ご自身のケースではどうなのか分からないことがあれば、どうぞ一人で悩まず、お気軽にご相談ください。決してお売りするようなことはいたしません。まずはお話をお伺いし、あなたのご家族にとっての「最高の選択」を、誠心誠意、一緒に見つけさせていただきます。

あなたの未来の暮らしが、より豊かで安心なものになることを、心から願っております。

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    この記事を書いた人

    リクシルのエクステリア商品の専門家。
    約20年、外構エクステリア業界に携わっています。
    日本全国のお客様と60,000件以上関わらせてもらいました。
    使い勝手が良く、コストを下げる提案が得意です。

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