こんにちは、エクステリア専門工事会社コウケンNETの池本です。この道一筋、約20年。たくさんのお客様のお庭づくりをお手伝いさせていただきました。
この記事を読んでくださっているあなたは、きっとこんな風に考えていらっしゃるのではないでしょうか。
「家の北側、このスペースをどうにか活用できないかな…。サンルームを置けたら洗濯物も干せるし、便利そうだけど、北側って日当たりが悪いって言うし…」
「冬は寒くて使えないんじゃないか?湿気でカビだらけになったらどうしよう…。せっかく高いお金を出すのに、後悔だけはしたくないな」
そのお気持ち、痛いほどよく分かります。インターネットで検索すればするほど、良い情報も悪い情報も出てきて、何が本当なのか分からなくなってしまいますよね。
私たちコウケンNETの仕事は、ただ商品を売って工事をすることではありません。お客様に「長期的な安心感」をご提供し、設置して良かったと心から思っていただくこと。そのために、良いことばかりではなく、注意すべき点やデメリットも正直にお伝えし、お客様が後悔しない選択をするためのお手伝いをすることが私の使命だと考えています。
私たちの信念は「売りっぱなしにしない」こと。工事完了後からが、お客様との本当のお付き合いの始まりです。
今日は、業界経験20年の専門家として、「北側のサンルーム」という選択が、あなたの暮らしにとって本当にプラスになるのかどうか、一緒にじっくりと考えていきたいと思います。どうぞ、リラックスしてお付き合いください。
北側にサンルームを設置する際の、暮らしが変わるメリットと正直な注意点
多くの方が「サンルームは日当たりの良い南側」というイメージをお持ちです。それは間違いではありません。しかし、だからといって「北側はダメ」と決めつけてしまうのは、非常にもったいないことかもしれません。
実は、北側だからこその「特別な価値」があるのです。ここでは、そのメリットと、正直にお伝えすべき注意点を一つひとつ見ていきましょう。
夏の暑さからの解放。実は「快適な多目的スペース」という最大のメリット

日本の夏は年々、厳しさを増しています。南向きのサンルームは、冬は暖かいのですが、夏場は直射日光を受けて温室のように灼熱の空間になりがちです。「暑すぎて、夏の間はまったく使えなかった」というお声も、残念ながら耳にすることがあります。
その点、北側に設置したサンルームは、夏の日中に強烈な直射日光が差し込むことがほとんどありません。これこそが、北側サンルームの最大のメリットだと私は考えています。単に「暑くない」というレベルではなく、夏の間も「快適に過ごせる多目的スペース」として大活躍してくれるのです。
例えば、お子様の遊び場として。強い日差しや紫外線を気にすることなく、安全に遊ばせることができます。また、大切な家具や本、フローリングなどが日焼けによって色褪せたり劣化したりする心配もありません。南向きのリビングでは日焼けが気になって置けなかったお気に入りのソファを、北側のサンルームに置いてくつろぎの空間にする、なんてことも可能です。
南側のサンルームが「冬に活躍する空間」だとすれば、北側のサンルームは「夏にこそ真価を発揮する空間」と言えるでしょう。日本の気候を考えると、このメリットは非常に大きいのではないでしょうか。
直射日光ではない「安定した光」。趣味や読書に最適な理由

「北側は暗い」というイメージは、必ずしも正しくありません。正確に言うと、「直射日光が入らない」だけで、一日を通して非常に「安定した、やわらかな光」が入ってくるのが北側の特徴です。これを建築の世界では「天空光」と呼び、実はとても価値のある光なのです。
考えてみてください。美術館やアトリエで、作品に強い直射日光が当たっているのを見たことがありますか?おそらく、ないはずです。それは、直射日光が作品を傷めるだけでなく、強い光と影のコントラストが、物を正確に見る邪魔をするからです。
北側のサンルームがもたらす穏やかな光は、まさにこの「アトリエの光」に近いものです。影ができにくく、目がチカチカすることもないため、読書やパソコン作業、プラモデル作りや裁縫といった細かな作業をするのに、これ以上ないほど適した環境と言えます。
南向きの部屋では、時間と共に太陽の位置が変わり、そのたびにカーテンを調整したり、眩しさに悩まされたりすることがあります。しかし、北側のサンルームなら、一日中カーテンを開けたままでも、落ち着いた明るさの中で静かに自分の時間に没頭できるのです。これは、単なる物干しスペースとしてだけではない、サンルームの新たな可能性と言えるでしょう。
避けては通れない「冬の寒さ」という現実。どう向き合うべきか

ここまでメリットをお伝えしてきましたが、もちろん良いことばかりではありません。正直にお伝えしなければならないデメリットの筆頭が、「冬の寒さ」です。
北側は、冬場に太陽の光による熱(日射熱)をほとんど得られません。そのため、外気温が低い日は、サンルームの中も同じように寒くなります。これを「部屋」と同じ感覚で考えていると、「こんなに寒いとは思わなかった」と後悔することになりかねません。
ここで非常に重要なのは、LIXILの「サニージュ」をはじめとする多くの「サンルーム」と呼ばれる商品が、「テラス囲い」というカテゴリに分類されるということです。これは、居室のような高い気密性や断熱性を前提として設計されていない、ということを意味します。
例えば、サニージュの窓ガラスは基本的に「単板ガラス(一枚ガラス)」が標準仕様であり、断熱性の高い「複層ガラス(ペアガラス)」に変更することはできません。これは、製品の構造やサッシの強度が、単板ガラスを前提に作られているためです。気密性も住宅のサッシほど高くはないため、隙間から冷気が入ってくることもあります。
ですから、「冬でも暖房なしでポカポカ過ごせる空間」を期待するのは難しい、というのが正直なところです。この現実をまず受け入れていただくことが、後悔しないための第一歩です。その上で、「冬場は洗濯物を干すための空間」と割り切って使う、あるいは、短時間だけ厚着をして利用するなど、使い方を工夫することが大切になります。
「洗濯物が乾かない」は本当?湿気と上手に付き合うための換気戦略
「北側だと洗濯物が乾かないのでは?」というのも、非常によくいただくご質問です。確かに、直射日光が当たる南側に比べれば、乾くスピードは遅くなる傾向にあります。特に、空気が停滞していると、洗濯物から出た水分がサンルーム内にこもり、湿度が高くなって生乾きの嫌な臭いの原因になることもあります。
しかし、これは「乾かない」のではなく、「乾かし方にコツがいる」と考えるべきです。洗濯物が乾くために最も重要な要素は、実は太陽の熱よりも「空気の流れ(風)」なのです。湿った空気をいかに効率よく外に逃がして、新しい乾いた空気を取り込むか。これが全てと言っても過言ではありません。

幸い、LIXILのサニージュは、この「換気」を非常によく考えられて設計されています。例えば、開口部には通常の引き違い窓だけでなく、風を効率的に取り込める「縦すべり出し窓」や、プライバシーを守りながら換気できる「ガラスルーバー窓」など、多彩なバリエーションが用意されています。
これらの窓を複数組み合わせ、空気の入り口と出口を作ってあげることで、サンルーム内にしっかりとした空気の流れを生み出すことができます。さらに扇風機やサーキュレーターを併用すれば、梅雨の時期や冬場でも、洗濯物を十分に乾かすことが可能です。
実際に、神奈川県横浜市のS様からも「北側なので洗濯物の乾きが心配でしたが、窓の開け方を工夫するだけで十分乾きます。雨の日を気にせず干せるようになって本当に助かっています」という嬉しいお声をいただきました。大切なのは、北側という環境特性を理解し、製品の機能を最大限に活かして「上手に湿気を管理する」という意識を持つことです。
最大の懸念「カビ」のリスクと、それを防ぐためのプロの知恵
冬の寒さと並んで、北側で最も懸念されるのが「カビ」の問題です。これは決して脅しではなく、真剣に向き合うべきリスクです。北側の空間は、日光による殺菌効果が期待できず、湿気がこもりやすいため、カビが発生しやすい条件が揃っています。
特に、冬場に外気と室内の温度差で窓やサッシに発生する「結露」は、カビにとって格好の水分補給源となります。これを放置してしまうと、サッシのゴムパッキンや壁との取り合い部分に、黒い点々としたカビが根を張ってしまうのです。
では、どうすれば良いのか。答えは「徹底した予防」に尽きます。カビは一度発生してしまうと、完全に取り除くのは非常に困難です。ですから、「カビを発生させない環境づくり」が何よりも重要になります。
プロとしてお伝えしたい予防の知恵は、主に三つです。
一つ目は、先ほどもお話しした「換気」です。とにかく空気を動かし、湿気を一か所に留めないこと。これが基本中の基本です。
二つ目は、「除湿」です。特に雨の日が続く時期や、洗濯物を大量に干す際は、除湿機の使用を強くお勧めします 1。湿度計を一つ置いておき、室内の湿度を快適とされる40%~60%に保つことを意識するだけで、カビのリスクは劇的に下がります。
三つ目は、「こまめな清掃」です。結露が発生したら、乾いた布でこまめに拭き取る習慣をつけましょう。また、サッシのレールに溜まったホコリは湿気を吸ってカビの温床になるため、定期的に掃除することが大切です。仕上げに消毒用エタノールをスプレーしておくと、さらに効果的です 12。
これらの対策は少し手間に感じるかもしれませんが、この習慣が、サンルームを長く美しく、そして健康的に使い続けるための秘訣なのです。
LIXIL「サニージュ」で考える、理想の北側サンルーム計画
さて、北側サンルームの特性をご理解いただいたところで、ここからは具体的な製品、LIXILの「サニージュ」を例に、後悔しないためのプランニングについてお話しします。なぜサニージュが北側設置に適しているのか、どんな点に注意して選べば良いのかを、一緒に見ていきましょう。
なぜ「サニージュ」なのか?北側設置で活きるその基本性能
数あるサンルーム商品の中で、私たちがLIXILの「サニージュ」をお勧めするには理由があります。それは、北側設置の課題である「採光」と「換気」に対して、非常に優れた答えを持っているからです。

まず「換気性能」。先ほども触れましたが、サニージュは開口部の選択肢が非常に豊富です。引き違い窓だけでなく、縦すべり出し窓やガラスルーバー窓、採風ドアなどを組み合わせることで、敷地の条件や風の通り道に合わせた最適な換気計画を立てることができます。これは、湿気対策が最重要課題となる北側サンルームにおいて、非常に大きなアドバンテージです。
次に「採光性」を左右する屋根材です。北側では、できるだけ多くの光を取り込みたいものです。サニージュの屋根材には、ガラスの約200倍の強度を誇り、有害な紫外線をほぼ100%カットする「ポリカーボネート」が標準で採用されています。この屋根材にはいくつかの種類があり、北側設置の目的によって最適な選択が異なります。
屋根材パネルの種類 | 特徴 | 北側設置への推奨度 |
ポリカーボネート(クリアマット) | 標準タイプ。明るさを最大限に確保しながら、有害な紫外線をカット。すりガラス調で視線も遮る。 | ◎ (大変推奨) |
熱線吸収ポリカーボネート | 夏場の室温上昇をある程度抑える熱線カット機能付き。クリアマットに比べ少し暗くなる。 | 〇 (推奨) |
熱線吸収アクアポリカーボネート | 高い熱線カット率に加え、光触媒の力で汚れが付きにくい防汚機能付き。メンテナンス性を重視する場合に。 | △ (目的が合えば検討) |
北側の場合、夏の室温上昇は南側ほど深刻ではないため、熱線吸収タイプを選ぶメリットは限定的です。基本的には、明るさを最優先できる標準の「ポリカーボネート(クリアマット)」が最もバランスの取れた選択と言えるでしょう。このように、設置場所の特性に合わせて最適な部材を選べる柔軟性も、サニージュの魅力の一つです。
ガラスの真実。複層ガラスにできない理由と「型ガラス」という選択
サンルームを検討されるお客様から、「冬の寒さ対策に、窓を複層ガラス(ペアガラス)にできますか?」というご質問をよくいただきます。お気持ちは非常によく分かるのですが、これはLIXILのサニージュでは対応することができません。
その理由は、製品の構造そのものにあります。サニージュのアルミフレームやサッシは、比較的軽量な「単板ガラス」をはめ込むことを前提に設計・製造されています。複層ガラスは、2枚のガラスと中間の空気層で構成されるため、単板ガラスに比べて重く、厚みも増します。これを無理に取り付けようとすると、サッシの開閉がスムーズにいかなくなったり、最悪の場合、製品全体の強度バランスが崩れてしまったりする恐れがあるのです。
これは決して手抜きや欠陥ではなく、「テラス囲い」という製品カテゴリの特性だとご理解いただければと思います。
では、ガラスに選択肢は全くないのかというと、そうではありません。プライバシーの確保という観点から、「型ガラス(かたがらす)」という、表面に凹凸模様をつけた、すりガラス調のガラスを選ぶことができます 6。
例えば、サンルームが道路やお隣の家の窓に面している場合、透明ガラスだと洗濯物や室内の様子が丸見えになってしまい、落ち着かないかもしれません。そういった場合に、下半分だけを型ガラスにしたり、全面を型ガラスにしたりすることで、光を取り入れつつ、外からの視線を効果的に遮ることができます。特に、洗濯物干し場としての利用がメインであれば、型ガラスは非常に実用的な選択肢となるでしょう。
我が家にぴったりのサイズ選び。圧迫感を出さないための秘訣
サンルームのプランニングで、意外と見落としがちなのが「サイズ感」です。多目的に使いたいからと、つい大きなサイズを選びたくなりますが、これが失敗のもとになることもあります。あまりに大きなサンルームを設置すると、お庭が狭くなって圧迫感が出たり、家全体のバランスが悪く見えてしまったりするのです。
サイズを選ぶ際は、まず「何のために使うのか」という目的を明確にすることが大切です。
「洗濯物を干すのが主目的」であれば、奥行き(出幅)はそれほど必要ありません。LIXILサニージュの規格でいうと、885mm(約3尺)や1,185mm(約4尺)といったサイズでも、物干しスペースとしては十分機能します。
一方で、「洗濯物を干すだけでなく、椅子とテーブルを置いてお茶を楽しみたい」といった目的があるなら、もう少しゆとりのある1,485mm(約5尺)や1,785mm(約6尺)以上の奥行きが必要になります。
設置前には、必ずメジャーなどを使って、実際の敷地にどのくらいのサイズが収まるのか、設置した場合にどのくらいのスペースが残るのかを具体的にイメージすることが重要です。私たちは、お客様のご要望をお伺いしながら、お住まい全体のバランスや動線を考慮した、最適なサイズをご提案させていただきます。
また、設置方法には、リビングの床と同じ高さに床を設ける「床納まり」と、コンクリートの土間を打って仕上げる「土間納まり」があります。リビングの延長として使いたいなら床納まり、自転車を置いたり、土足で出入りしたりするなら土間納まりが適しています。こうした納まり方の違いも、使い勝手や見た目の印象を大きく左右するポイントです。
まとめ:あなたのパートナーとして、設置後もずっと安心を
さて、ここまで「北側のサンルーム」について、メリットとデメリット、そして具体的な製品選びのポイントを詳しくお話ししてきました。
もう一度、大切な点を振り返ってみましょう。
北側のサンルームは、決して「日当たりが悪いからダメ」という選択肢ではありません。むしろ、「夏場でも快適に使える」「趣味や読書に集中できる穏やかな光が得られる」といった、南側にはない独自の価値を持った空間です。
一方で、「冬は寒い」「湿気がこもりやすく、カビのリスクがある」といった課題も確かに存在します。しかし、これらの課題は、LIXILサニージュのような換気性能に優れた製品を選び、換気や除湿といった「上手な付き合い方」を実践することで、十分に乗り越えることができます。
重要なのは、こうした特性をすべて理解し、納得した上で決断すること。そして、その決断をお手伝いするのが、私たち専門家の役割です。
私たちコウケンNETは、「工事が完了したらおしまい」とは考えていません。むしろ、そこからがお客様との本当のお付き合いの始まりだと信じています。「売りっぱなしにしない」。これが、私たちが創業以来、ずっと大切にしてきた約束です。
サンルームを設置した後、実際に使ってみて初めて出てくる疑問や不安もあるかと思います。「思ったより洗濯物が乾きにくいんだけど、どうしたらいい?」「この汚れ、どうやって掃除すればいいの?」そんな時は、どうぞ遠慮なく私たちにご連絡ください。お客様がその空間を長く、安心して、そして心から楽しんで使い続けていけるように、いつでもそばでサポートさせていただきます。
どんな小さな疑問でも構いません。あなたの理想の暮らしを実現するために、私たちがこれまでの経験と知識のすべてをもって、誠心誠意お応えします。どうぞ、お気軽にご相談ください。